【速攻解説】「Progmat SaaS」って?背景にある海外/国内のトークン化商品トレンドの違いと、Progmatの戦略/アーキ設計もまるっと公開します
こんにちは、プログラマブルな信頼を共創したい、Progmat(プログマ)の齊藤です。
2024年11月1日に、本年12件目のプレスリリースを発信しました。
タイトルは、「デジタルアセット市場における“ナショナルインフラ”実現に向けた、「Progmat SaaS」及び「導入支援サービス」の提供開始について」(Towards the Realization of a “National Infrastructure” in the Digital Asset Market, Launch of “Progmat SaaS” and “Implementation Support Services”)です。
News|【Progmat】デジタルアセットプラットフォームニュースリリースやトピックス、Progmatについて掲載された各種メディア記事さまざまな情報をご紹介します。progmat.co.jp
30日の日経電子版、31日の日経朝刊でも報道されていた取り組みです。
プログマが基盤システム、デジタル証券に地銀が参入しやすく – 日本経済新聞3メガバンクが出資する新興企業がNTTデータやSBI系と連携し、金融機関がデジタル証券事業に参入しやすくするシステムを開発www.nikkei.com
プレスリリース等を実施したイベント週では、
情報解禁後いち早く正確に、背景と内容についてこちらのnoteで解説しています。
ブロックチェーン屋なのに、”SaaS”…?
まーた国内ガラパゴスなことやっているんじゃないの…?
戦略的/技術的にセクシーなの…?
そんな疑問符が付きそうなプロダクト「Progmat SaaS」について、背景となる国内外市場/案件動向の概観から、左記を踏まえたProgmatとしての戦略/設計まで、本記事を眺めると端的に掴めるように書いていきます。
ということで、通算30回目の本記事のテーマは、
「【速攻解説】【速攻解説】「Progmat SaaS」って?背景にある海外/国内のトークン化商品トレンドの違いと、Progmatの戦略/アーキ設計もまるっと公開します」です。
目次
- 要旨
- 「トークン化商品市場」分析のマトリクス
- 海外市場とトレンド
- 国内市場と案件動向
- Progmatの「全方位戦略」と「技術戦略」
- で、「Progmat SaaS」の社会的な意義は?
- 今後はどんな展開?
- おわりに
要旨
時間のない方向けに、端的にサマると以下のとおりです。
- 前提、顧客軸(機関投資家/法人 or リテール)と、主たる生活圏/プロセス軸(オンチェーン or オフチェーン)で市場を捉える
- 日本の「トークン化商品市場」は、欧州市場比では全般的に先行し、特に「オフチェーン生活圏×リテール顧客」領域で先駆的に市場が拡大中
- 米国/オフショア市場比劣位のオンチェーン領域も、変化の兆しが見えており、キャッチアップするチャンスがある
- Progmatとしては、最終的には全方位/全セグメントの市場を切り開くつもり
- そのためには、パーミッションレスチェーンもパーミッションドチェーンも分け隔てなく、マルチチェーンを前提にプロダクトを組み立てる必要がある
- Progmat単独としては、最も強み(「規制/商品/業務理解力」「ST/UT/SC横断のワンストップ解決力」)が活きる「アプリ層」に自社リソースを集中する
- 規模の経済が重要で、金融インフラとしての高い品質/安全性/柔軟性を担保しなければならない「インフラ層」は、豊富な実績を有するNTTデータと連携(株主として資本業務提携)して提供する、”巨人の肩に載る”戦法をとる(ST-UT-SCを問わず横断的に構築/運用しコスト効率も最大化していく)
- グローバルレベルのエコシステムの大きさ勝負の「チェーン層」で、無理にガラパゴスな独自チェーンを展開しない
- マルチチェーン前提の中で、「チェーン間連携」はグローバル水準で実績を有するDatachainと連携(株主として資本業務提携)して提供する
- SaaS化により、マルチチェーン化による負荷をProgmat側で吸収し、利用企業から見るとチェーンの違いを意識せずワンストップのインターフェイス(API/UI)で対応できるようにしやすくなる
- ST市場における短期的な効果としても、”システム導入ハードルの高さ”が解消し、健全な競争が働きやすく、かつ介在するエンティティを減らす選択肢も取りやすくなることで、より魅力的な市場を創り易くなる
では、順番に解説していきます。
「トークン化商品市場」分析のマトリクス
ではまず、戦略/設計の前提となる、デジタルアセット/トークン化商品の市場について簡単に分析します。
日々、国内外から様々なニュースが飛び込んできますが、整理する軸があると大きなトレンドや特徴を掴みやすくなります。
軸の切り方は色々ありますが、新商品/新市場においては「顧客/ユーザー」と「主たる生活圏/プロセス」で切るのがオススメです。
「主たる生活圏/プロセス」に着目する理由は、ビジネスにおける”慣性”の力を重要視しているからです。すなわち、”既存の何か”があると、それに引きずられる力学が大きく働く(スイッチングコスト&併存コストの壁)、ということです。
ということで、「トークン化商品市場」を2つの軸でマトリクス化します。
海外市場とトレンド
まず、「海外×ST/デジタル証券」から見ていきます。
まず、日本に先行してST取引が始まった米国市場です。
特徴として、「オンチェーン生活圏の機関投資家/法人(富裕層個人等の一部”みなしプロ”を含む)の取引」が多いな、と見ています。
BrackRock×Securitizeの座組みで組成し、あっという間に規模を拡大し注目を集めた「BUIDLファンド」(オンチェーン機関投資家向けのトークン化米国債運用ファンド)も、このセグメントの事例の1つでしょう。
広範なリテールユーザー(小口投資家等)まで対象に入っているかというと、必ずしもそこまではいっていないようです。
こうした特徴の背景には、次のような要素がありそう(私見)です。
- 【背景/前提(私見)①】米国には、機関投資家/法人(ないし富裕層個人)を含めた”オンチェーンユーザー”が相応に存在し、実需がある
- 【背景/前提(私見)②】広範なリテールユーザーを対象にすると開示規制等の手間/コストが嵩むため、いわゆる”プロ私募”にあたる範囲に留めることが多い(つまり目的が、新たな商品性そのものというより、オンチェーンユーザーに、規制の手間/コスト小さく商品を届けることにある?)
次に欧州市場です。
特徴として、「中銀や大手金融機関主導のDvP実証」が多いな、と見ています。
ST化対象はほぼほぼ国債か社債、資金決済がデジタル通貨(CBDC的なもの)で、「PoCをやって効率化されることを確認しました」的なやつです。
(日本では既に数年前に終わっているフェーズ)
広範なリテールユーザーはおろか、機関投資家/法人(ないし富裕層個人)も含めて実需に基づいて取引している段階まではいっていないようです。
こうした特徴の背景には、次のような要素がありそう(私見)です。
- 【背景/前提(私見)①】日本と同様に「大陸法」系のため規制整備がなければ新商品を実質取り扱えないところ、暗号資産等のデジタルアセット規制(MiCA)の施行が始まったばかりで、”オンチェーンユーザー”がまだ限定的
- 【背景/前提(私見)②】通貨/決済覇権の力学上(米国支配下のクレカに決済市場をほぼ取られている構造を変えたい意図)、先進国の中では比較的CBDC(デジタルユーロ)に積極的で、CBDCの代表的ユースケースとしてDvPとその相手となる”シンプルなST”を必要としている
次に、「海外×SC/デジタル通貨」を見ていきます。
まず欧州市場については、前述のST市場と同様です。
そして、現在のSC(USDT、USDC、他新興PJ群)の主戦場は「オフショア市場(規制対象外の市場)」中心と捉えています。
端的にいえば、規制未整備な状況下での「オンチェーンユーザー(広範なリテール層)のクリプト周辺取引」が大宗でしょう。
主たる生活圏/プロセスがオフチェーンの、大多数のユーザーにおける実体経済/決済での浸透は、海外であっても道半ばといえそうです(ただし、自国通貨or外貨利用に課題が多い国から浸透し始めているのも事実)。
既存のSCの時価総額の大宗は、USDTです。
ただし先日報道もなされたように、MiCAの施行が始まる欧州市場では締め出しが始まりそうです。
欧州に先行し、先進国として初めてSC規制を整備した日本においても、どこの国の規制にも服していないSCは「外国電子決済手段」としても持ち込むことはできないと認識しています。
そして、そうしたSC規制の流れは散発的なものではなく、2020年のFATF勧告等を受けてG20ベースで進む「確定的な流れ」です。したがって、現状の「USDT中心」の市場構造が持続的かどうかは、見方が分かれるところです(私は懐疑的です)。
国内市場と案件動向
では、国内市場はどうでしょうか。「国内×ST/デジタル証券」から見ていきます。
更に詳しい情報の続きは、noteの公開記事をご覧ください(↓)