【速攻解説】「Progmat Coin」、”検討段階”ではなく、マルチチェーン上のスマートコントラクト実装完了段階ですという話(技術ポイントまとめ)
こんにちは、プログラマブルな信頼を共創したい、Progmat(プログマ)の齊藤です。
2024年5月31日に、本年7件目のプレスリリースを発信しました。
タイトルは、「ステーブルコイン事業協業による、標準機能のコントラクト共同開発完了およびテストネット環境における複数ブロックチェーン間の移転取引成功について(Progmat-and-Datachain-Collaborate-on-Stablecoin-Business-Completion-of-Joint-Development-of-Contracts-for-Standard-Features-and-Successful-Transfers-in-Testnet)」です。
News|【Progmat】デジタルアセットプラットフォームニュースリリースやトピックス、Progmatについて掲載された各種メディア記事さまざまな情報をご紹介します。progmat.co.jp
プレスリリース等を実施したイベント週では、
情報解禁後いち早く正確に、背景と内容についてこちらのnoteで解説しています。
ということで、通算25回目の本記事のテーマは、
「【速攻解説】「Progmat Coin」、”検討段階”ではなく、マルチチェーン上のスマートコントラクト実装完了段階ですという話(技術ポイントまとめ)」です。
目次
- 結論
- 前提、「Progmat Coin」とは改めて。
- 「Progmat Coin」の実装方式と設計思想
- 「Burn-Mint方式」vs「Lock-Mint方式」
- 「Burn-Mint方式」に「IBC」を用いる
- まず「CCTP」を理解する
- 次に「IBC」を理解する
- 最後に「LCP」を理解する
- そして現時点
- さいごに(伏線…)
結論
時間のない方向けに、端的に結論をまとめると以下のとおりです。
- 「Progmat Coin」は、「発行基盤」(as a Service)の名前で、マルチチェーン前提、グローバルな標準規格に準拠するDAppsです。
- グローバルでも先進的な「Burn-Mint方式」のクロスチェーン移転を実装しています。
- 米Circle社が実装している「CCTP」よりもオープンなプロトコルである「IBC」をサポートしています。
- ”SCの発行を共同検討”といった段階は既に終えており、具体的な”実装段階”であるだけでなく、グローバル目線でも最先端の内容で”実装完了”している段階です。
- いま、連名で、発表した意味があります。(伏線です…)
では、順番に解説していきます。
前提、「Progmat Coin」とは改めて。
あらためての前提ですが、「Progmat Coin」に関するポイントは以下のとおりです。
- 「Progmat Coin」はステーブルコイン(SC)の銘柄/ブランド名ではなく、規制準拠でSCを発行するための「発行基盤」の名前(as a Service)
- 「発行基盤」≠独自チェーン(ガラパゴスな仕組みをつくらない)
- 「発行基盤」=DApps(分散型アプリケーション)
- DApps=以下の3つの構成
- 各種パブリックチェーン上のスマートコントラクト(スマコン)
- 発行体が業務を行うためのアプリケーション(業務アプリ)
- 業務アプリ<>スマコンを繋ぐウォレット
- 対応するパブリックチェーンは、Ethereumだけでなくマルチチェーン前提、グローバルな標準規格に準拠
- 自社ブランドのSC発行を希望する事業者の皆様は、法的な発行の器となる信託銀行と連携し、JPYだけでなく、USDやEUR建てのSCを発行することが可能
ここらへんは、「よくある誤解と中の人の解説」として公開済みですので、再掲です。
https://note.com/embed/notes/n406e5cfa9f1c
「Progmat Coin」の実装方式と設計思想
実装方式を理解するうえでポイントになるのが、前提となる設計思想です。
つまり、実現方法には様々な選択肢がある中で、何を重視するか(重視しないか)?、その背景にどんな価値観があるか?、が重要です。
ソフトウェアであれ法律であれ、1行ずつコードや条文を読む前に、どんな設計思想の下でアウトプットされているのかを理解すると、行間を含めて理解しやすいといえます。
では、「Progmat Coin」における設計思想(≒価値観表明)はどのようなものでしょうか?
端的にいうと、「流動性を最大化するための最適な設計とする」です。
ステーブルコインの”プログラマブルマネー”としての特徴は過去に再三解説してきたとおりですが、マネーである以上、最大のユーティリティはいつでもどこでも取引できること(=流動性が高いこと)である点は不変だと考えています。
「この取引では●●マネーは使えないんですよー」
「●●マネーと●●マネーは交換できないんですよー」
「●●マネーは換金するためにXXしてYYしないといけないんですよー」
どれほど高尚なプログラマビリティやセキュアな利用者保護の仕組みを有していたとしても、上記のような”流動性がない”マネーは、そもそも誰も使わないですよね(*キャンペーン期間を除く)、というシンプルな価値観です。
では、ブロックチェーン上のトークンであるSCにおいて、「流動性を最大化する」ための必要条件は何でしょうか?
色々考えられますが、Progmatチームとしては少なくとも、
「利用者に、ブロックチェーンの違いによる制約を意識させない」
(どんなチェーン上でも制約なくSCを移転できる)
が最低限必要だと考えました。
前提として、
いずれ全てのユースケースが1つのブロックチェーンに収斂するならば別ですが、ブロックチェーンにはトリレンマ(*分散化、セキュリティ、スケーラビリティの同時実現は困難であること)がある以上、どの要素を強めてどの要素を弱めるかは各チェーンの設計思想により異なり、ユースケース毎に重要視する要素が異なる以上、ユースケースに応じて複数のチェーンが併存する未来が現実的、という考えがあります。
(少なくとも本記事執筆時点の齊藤私見)
こうした前提認識と設計思想の下、「Progmat Coin」の実装方式の中でも特徴的なものが、次の2点です。
- 「Burn-Mint方式」でのクロスチェーン機能を有していること
- 「IBC」のプロトコルを用いていること
…だんだんテクニカルになってきましたね。
以下の解説から更にブロックチェーンっぽくなりますが、できるだけ分かりやすく解説します。
「Burn-Mint方式」vs「Lock-Mint方式」
そもそも、”クロスチェーン機能”とは何?ですが、異なるブロックチェーン間でトークンを移転するための機能を指しており、「ブロックチェーンの違いによる制約を意識させない」ために重要な実装です。
更に詳しい情報の続きは、noteの公開記事をご覧ください(↓)