Why Tokenization (なんでトークン化するの)?
こんにちは、プログラマブルな信頼を共創したい、
Progmat(プログマ)の齊藤です。
10月2日の新会社設立に合わせて公開した第1回記事では、
「そもそも、Progmatって何なん?」を解説してみました。
https://note.com/embed/notes/n03a291fa52ab
Progmatを語るうえで、キーワードの1つが、
“RWA(リアルワールドアセット)のトークン化”でした。
そこで第2回目の本記事のテーマは、
「なんでトークン化するの?」です。
目次
- 千載一遇の”日本×トークン化”
- What is 成文法主義 vs 判例法主義
- 日本とアメリカの相対的立ち位置
- What is デジタルアセット @日本
- デジタルアセット関連法整備=一巡してます
- Why ST(なぜST化するの)?
- トークン化 ≒ 上場しなくても”限界費用ゼロ”
- トークン化 ≒ P2Pでも”決済リスクゼロ”
- Why SC(なぜSCが必要なの)?
- トークン化 ≒ クロスボーダー決済最適化
千載一遇の”日本×トークン化”
最近、「トークン化(デジタルアセット)ビジネスの領域で、日本は世界の中でも相対的にチャンスが大きい」という意見が多くなっています。
これは私も同じ意見です。
しかし少し前までは、
「日本は何をやるにも遅い」
「世界の潮流に逆行している」
「こんな国でビジネスできない、早く海外に出るべき」
という意見が大勢を占めていました。
いったい何が起きているのでしょうか?
これを理解するうえで、
大前提となる各国の法律/規制に対するアプローチの違いについて、
エッセンスだけでも理解しておくと損はないと思います。
What is 成文法主義 vs 判例法主義
まるで法学部の授業のようですが、少々お付き合いください。
予めお断りしておくと、私は法学部出身でも弁護士でもないため、あくまでビジネスパーソンとして把握しておくと役に立つエッセンスについて、齊藤の個人的理解ベースでザックリ解説するものです。
さて、日本は成文法主義の国です。
要は、制定された法律の根拠が無ければ「黒」(法令違反)、”グレーゾーン”は”みなしブラック”の世界観です。
法令遵守が絶対である金融機関が典型ですが、法的根拠がないうちから「トライ」はできません。
よく比較されては羨望の対象となるアメリカは、判例法主義の国です。
要は、法律で原理原則を定め、各個別事案が「黒」か「白」かは、過去の判例によって事後的に判断される世界観です。
”グレーゾーン”であるうちは、”(現時点では)ブラックではない”ため、まず「トライ」してみるという判断がしやすいといえます。
これは歴史的/構造的な話ですので、「だから日本は…」と嘆いても始まりません。
成文法主義の相対的なメリット、判例法主義の相対的なデメリットはないのでしょうか?
実はそれが「予見可能性」(結果を見通しやすいかどうか)です。
日本は良くも悪くも、ほぼ法律で綿密に定められた文言に沿った運用がなされるため、解釈の余地はほとんど残されていません。
ネガティブにいえば「硬直的で柔軟性に欠ける」のですが、ポジティブにいえば「サプライズはない」ともいえます。
アメリカをはじめとした判例法主義の国は、解釈の余地が非常に大きく、ポジティブにいえば「時代に即した柔軟な運用が可能」なのですが、ネガティブにいえば「運用者の裁量によりサプライズが起きるリスクがある」ともいえます。
日本とアメリカの相対的立ち位置
ここまで前提を共有するともうお分かりだと思いますが、2023年10月現在のアメリカは、「判例法主義」のネガティブな側面が大きく作用し、これまでは”グレーゾーン”だったビジネスが後解釈で「黒」と指弾されるリスクが高いビジネス環境になっているといえます。
なぜ急にこのような状況になったのでしょうか?
多くの識者の意見では、2022年におきた大手暗号資産取引所のFTXの破綻をトリガーに、デジタルアセットに対する世論/政治情勢が一気にネガティブに転じたとされています。
つまり「絶対的に日本がすごい」わけではなく、ある種の”敵失”で相対的に有利になっているに過ぎない、という謙虚な環境認識が重要だと個人的には感じています。
いつまでも日本が有利というわけではなく、”今この瞬間が千載一遇のチャンスだ”ということです。
What is デジタルアセット @日本
では、成文法主義の日本において、デジタルアセット(トークン)に対する制定法はどこまで整備されているのでしょうか。
そもそもの前提として、「デジタルアセット(トークン)」って何?を明確にしたいと思います。
実は、日本法上「デジタルアセット(トークン)」の定義がバチっと記載されているわけではないのですが、各関連法上の記載を結びつけ、次の3つの要素を満たしているものを「デジタルアセット(トークン)」と呼ばせてください。
- 分散型台帳上で(必ずしも”ブロックチェーン”とは書かれていない)
- 電子的に移転可能な
- 財産的価値
一口にデジタルアセット(トークン)といっても、その性質は様々です。
2023年10月時点の日本では、その性質に応じて、既存の近しい概念にあてはめて規制を設計するというアプローチを採用していると理解しています。
主な分類は次の3種類です。
- (主に)決済手段として利用されることが想定されているもの
- 保有すると利益分配を受けるもの
- 特定の権利行使や役務の受領、又は希少価値自体に意義があるもの(上記1、2以外ともいえる)
1の性質をもつデジタルアセット(トークン)が、「暗号資産」と「ステーブルコイン(以下、SC)」です。(暗号資産がどこまで決済手段として利用されているか、の議論は、定義(利用されることが想定されている)とは無関係のため横に置きます)
既存の近しい概念は、もちろん既存の決済手段ということで、このタイプは資金決済法及び銀行法で規制されます。
SCは、法律上「電子決済手段」として定義され、要件も明確になっています。
2の性質をもつデジタルアセット(トークン)が、「セキュリティトークン(以下、ST)」です。
既存の近しい概念は、もちろん既存の有価証券ということで、このタイプは金融商品取引法(金商法)で規制されます。
STは、法律上「電子記録移転有価証券表示権利等(以下、電有等)」として定義され、要件も明確になっています。
「ユーティリティトークン(以下、UT)」を含む「NFT」等は、1にも2にも該当しない場合、「資金決済法」「銀行法」「金商法」の適用を受けないものとして取り扱いが可能となっています。
デジタルアセット関連法整備=一巡してます
以下がファクトです。
結論からいうと、
日本は主要なデジタルアセットに対する法律整備は一巡しているといって差し支えないです。
(STやSCに関する法制化経緯や法律上のポイント等は、本記事ではボリューミーすぎるため、別記事で詳述したいと思います)
ビジネスの進展に合わせた細やかな制度チューニング(税制の最適化を含む)は続くと思いますが、それでも「法的根拠が不明確だからビジネスができない」状況では決してなく、あとは「日本の民間セクターのやる気と創意工夫」次第といえます。
繰り返しですが、”今この瞬間が千載一遇のチャンスだ”ということです。
一方で、これはビジネスです。
ノリではなく、社会的/組織的な意義や意味が無ければ、決して大きく発展することはありません。
Why ST(なぜST化するの)?
更に詳しい情報の続きは、noteの公開記事をご覧ください(↓)